幾度も来る悦びと哀しみを重ねて空の青に還らん
翼の母上が、自宅の電話機に溜まつた留守電を整理しようと聞き返していて、亡くなつた翼の叔母さんの留守録を発見したらしい。
その人は母上の姉に当たる人で、数年前に癌で亡くなつたさうだ。
その留守録を、翼は聞きたいと言ふ。
叔母さん存命の間は、他の人と同じようにやうに、筆談や、簡単な手話で会話をしてゐたが、亡くなつた今、声を聞きたいのだと、翼は泣いた。
小学校の6年生くらゐまでは、右耳だけだけれど、聴こへてゐたさうで、聴こへなくなつてからも、泣く程、焦がれる程に聞きたい声は無かつたといふ。
「聞きたいつて、思つちやつたんだよね。」
かう云ふ気持ちは、理屈ではないのだらう。
その人は母上の姉に当たる人で、数年前に癌で亡くなつたさうだ。
その留守録を、翼は聞きたいと言ふ。
叔母さん存命の間は、他の人と同じようにやうに、筆談や、簡単な手話で会話をしてゐたが、亡くなつた今、声を聞きたいのだと、翼は泣いた。
小学校の6年生くらゐまでは、右耳だけだけれど、聴こへてゐたさうで、聴こへなくなつてからも、泣く程、焦がれる程に聞きたい声は無かつたといふ。
「聞きたいつて、思つちやつたんだよね。」
かう云ふ気持ちは、理屈ではないのだらう。