帆を張るやうに胸を張れ

会社の癌検診に引つ掛かつてしまひ、会社指定の病院へ。更にそこから癌の専門医のゐる総合病院へと参りまして、検査入院と云ふ事になりました。
結論から言ふと、癌ではありませんでした。今のところは。

まあ、色々ありますよね。歳を取るとさ。

いやあ、検査の煩はしい事、痛い事、恐い事。
看護師さんやヘルパーさん達は優しいし、俺を担当してくれた医師も話し易くて誠実な感じの人だつたけど、注射が嫌ひな俺には、採血だの点滴だの、癌の恐怖も忘れる程の恐ろしさだつたんだよう。
特に、穿刺検査は局部麻酔で意識は有つたから、全力で目も意識も逸らしてました。
全身麻酔にして欲しい。

とにかく、癌ではありません。まめに検査を受けるやうには言はれちやつたけどね。てへ。

それにしても、デカイ病院だつたなあ。
翼のお父さんの紹介だつたんだけど、翼に伝へたと思つたら、翌週には入院、検査の手筈が整つてました。
こんなのも有つた。

ドクターヘリです。翼が撮りました。
退院した日に一度だけ、離陸するのを見ました。翼が本物だ本物だと、大騒ぎしてました。

全く、子供かよ。俺もちよつと興奮したけど。

ちよつとだけですよ。

お陰様で、最短で検査して、最短で退院する事が出来ました。感謝してます。

実家の方には言いませんでした。と言ふか、言へなかつた。
嘘は吐きたくないから。
この先、翼と付き合つてゆくにあたつて、一番の問題がここなんだよね。一番の悩み事つふか。
癌よりも、入院よりも、検査よりも気掛かりだけど、今回は考へないやうにしてました。余計なストレスが掛かつて検査の結果に影響したらマズイしさ。

なんてね。

判つてます。逃げてます、俺。

判つてます。