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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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支援を仕事にすると云う事。

2年前の事。とても恐ろしく、腹立たしい話を聞きました。
ある障碍者支援の施設で働いている方から聞いたのですけれど、その施設の所長さんが、施設の忘年会でヘルパーさんやパートさん達に、

「言う事を聞かなかったり、騒いだりする利用者さんはね、怒鳴ったり、恐い話をして脅かして、おとなしくさせるといいのよ。」

と言っていたそうです。利用者さんと云うのは、知的や情緒に障碍のある人達です。
要は脅かして気分を落ち込ませて静かにさせると云う事らしいのですけれど、それを一つの有効な手段として、ヘルパーさんやパートさん達に教えていたらしいのです。

「“落とす”って言うのよ。」

彼女は当たり前の様に、そう語ったそうです。

その施設は俺もよく知ってると言うか、実家の近くに在って、そこそこ有名な施設(支援団体)なんだよね。養護学校の高等部が実習に行ったりもしてる。
その話を聞いた時には、驚きと怒りで言葉も出ませんでした。

俺は直ぐに養護学校へ子供を通わせている知人と連絡を取り、その施設へ実習に行っている子の保護者の方から話を聞いて貰いました。
すると、耳を疑う様な話が返ってきました。

「騒がしい人は駄目。」
「協調性の無い人は駄目。」
「素直でない人は駄目。」
「他の利用者さんの迷惑になるから。」

実習の反省会で、その子のお母さんはそう言われたそうです。
実習に行っていた本人は、初日からおどおどしていたそうで、お母さんは反省会の日にその理由が判ったと知人に話したそうです。

“他の利用者さん” って、静かで団体行動が得意で、何でも言う事がを聞く人の事だろうか。
知的・情緒障碍のある人で、そんな人は少ないと思うんだけどね。
そう云う利用者さんばかりなら、さぞかし仕事は楽だろうけど、楽をする為にやってるんだとしたら、支援を仕事にするのは止めて欲しい。

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風に乗る日。

「○○さん?○○せんせ?」

バス停でバスを降りた俺に駆け寄る若い女性と、待ちなさいと慌てた声で後を追ふ母親らしき女性。

「せんせ!せんせ!」

俺の両手を取り、ブンブン揺らす笑顔には見覚へが有つた。

「●●ちやん、元気だつた?」

抱きついてこようとする彼女を抑へて顔を覗き込むと、長い睫毛に縁取られた瞳がニーッと細くなる。
俺は記憶の中の少女より、ずいぶん背の高くなつた彼女と腕を組んで、息を切らせてゐる女性に挨拶をした。

「ご無沙汰してます。●●、今、働いてるんですよ。」

その女性、彼女のお母さんの言葉が終はらない内に、彼女が話し出した。
養護学校を卒業後、某企業の特例子会社に入社した事、仕事の内容や会社の約束事等、それは楽しさうに話してくれた。
ひとしきり話すと、彼女は肩に掛けてゐた鞄からマグを出して飲んだ。
熱中症対策とかで、それも会社の約束事なのださうだ。

「夢、叶ひましたね。」

思へ出話を幾つかした後、俺はお母さんに言つた。
働いて給料を貰ひ、それを自分の為に使ふと云ふ生活をさせてやりたいと、いつも言つてゐたから。

「あの子、頑張つたもの。今も頑張つてるし。」

さう言ふお母さんの笑顔には、たくさんの思ひが詰まつてゐるやうな気がした。

ジブリのアニメが好きな彼女は、今でも『風の谷のナウシカ』の歌が大好きで、よく歌つてゐるさうだ。

彼女の心が、いつまでも風のやうに自由で在りますやうに。


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佐村河内守。

ゴーストライターを使つてゐたと云ふ事よりも、身体障害は“偽れる”“騙れる”と云ふ印象を社会に与へた事の方がよつぽど悪い。

特に、中途失聴や難聴の人が、症状が変はつて審査を受ける度に嘘吐き呼ばはりされたりしないか、とても心配だ。








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祝、内定!

小学校の特別支援学級の頃から知つてゐる子が、某大型スーパーの内定を貰つた。
彼の能力は勿論、真面目で謙虚な態度、努力家で勉強家な所、何よりも実習先で気に入られたのは、彼の笑顔ださうだ。

彼の障碍は“自閉症”。一応、さう云う事にはなつてゐるけれど、医師に依つてはアスペルガー症候群や、広範性発達障害と診断されるであらう、微妙な症状だ。
普段、自閉症者と関はる事の無い人には、少し変はつてゐると感じるくらゐで、障碍があるとは気づかない人もゐるかもしれない。

普通の人に見える…それが彼や、彼の親御さんの悩みであつた。
俺達のやうな支援者や、他の障碍児の保護者の投げ掛ける、

「普通の子に見えるよね。」

と云ふ言葉が、どんなにか歯痒く、どんなにか彼や彼の親御さんの孤独感を深めたか、彼が彼の希望通り、養護学校に入学した時に聞いた。

「僕は自閉症なんです。誰にどんなふうに見えていても、本当の自分は自閉症。」

彼は有りの儘に生きてゐる。
その彼の“有りの儘”が、彼の人生を切り開いてゆきます。
そのやうに育て上げたご家族、先生方、彼を支えてきた人達に、心からの祝福を差し上げたい。

おめでたうございます。
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それぞれの“普通”と云う事。

翼もそうなんだけど、総じて聾唖者がアクティブに見えるのは、手話を使う事と、身振り手振りが大きい事に依るのではないだろうか。
翼は行動的ではあるけれど、そう社交的であるとは言い難い。

当たり前の話だけれど、同じ障碍を持っていても、性格も性質も、みんな違う。

また、障碍者(児)の養育者や介護者も、明るく社交的で、穏和な方が多い様に見受けられるけれど、それも誤解が有るのではないかと思う。

これもまた当たり前の話だけれど、なにも障碍者の養育者や介護者が、皆、社交的で穏和でなくてはならないと云う事もない。

苦労しているから我慢強くなるとか、人間が出来ているとか、確かにそう云う事は有るかもしれない。
けれど、それを押し付ける様な事は、有ってはならないのだ。
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