帆を張るやうに胸を張れ

写真は俳句と良く似てゐる。

それは、切り抜かれた一瞬のリアルで有り、そこには動かない真実だけが存在する。
一枚の写真。
それ以上でもそれ以下でもない。

詩情も、情緒も、物語も、欲望も、感動も、共感も、それらは総て受け取る側に有る。

それぞれのアンテナが受信したシグナルの数だけその魅力は無限に広がつてゆく。
受け取る心の数だけ、物語は無数に生まれてゆく。

逆に、受信可能なアンテナを持たなければ、その魅力を全く感じる事は出来ないだらう。

総ては見る側に委ねられてゐる。

もし、総ての人に同じ感想を以て見て欲しいのなら但し書きを付ければ良い。


ただ、一枚の写真として見る側へ全く委ねてしまふ潔さが無ければ、その魅力もまた半減してしまふだらう。