裏切りの甘さにゑひて雪螢ひとつふたつと傷跡数へ
「これ、ちよつと持つててくれる?」
翼はこくりと頷いて俺の上着を受け取つた。
前髪を直しながらふと見ると、ショーウィンドーに映る俺の肩越しに、俺の上着を抱いてそつと顎を埋める翼が映つてゐた。
本当なら恋人のそんな仕草は嬉しいものなのかもしれないけれど、俺は翼が此方を見た瞬間、思はず目を閉じてしまつた。
自分の弱さが嫌になる。
翼はこくりと頷いて俺の上着を受け取つた。
前髪を直しながらふと見ると、ショーウィンドーに映る俺の肩越しに、俺の上着を抱いてそつと顎を埋める翼が映つてゐた。
本当なら恋人のそんな仕草は嬉しいものなのかもしれないけれど、俺は翼が此方を見た瞬間、思はず目を閉じてしまつた。
自分の弱さが嫌になる。