夕飯を作つて貰つた。
翼が夕飯を作つてくれる事になつた。
カナダでは自炊をしてゐる訳だから、料理は出来るんだけど、今までは“お客様”だつたから、飯なんて作つて貰ふのは初めて。
コーヒーくらゐは淹れてくれるけど。
驚いたのは俎を使はない事。
馬鈴薯なんか、剥きながらスパスパとカットしてゆく。
あつちではそれが普通なのださうだ。
しかも、俎は不衛生ではないかと言ひやがる。
処が、ある食品を前にすると、急に俎を貸せと言つてきた。
「不衛生なんだろ。」
ニヤニヤ笑ひの俺に、翼は眉をひそめる。
俺はその食品を徐に手のひらに乗せ、賽の目に包丁を入れた。
狭い台所で並んで料理をしてゐると、もう、ずうつとさうしてゐたやうな気分になる。
“今”を噛み締める俺の隣で、翼は何を思つてゐるのだらう。
カナダでは自炊をしてゐる訳だから、料理は出来るんだけど、今までは“お客様”だつたから、飯なんて作つて貰ふのは初めて。
コーヒーくらゐは淹れてくれるけど。
驚いたのは俎を使はない事。
馬鈴薯なんか、剥きながらスパスパとカットしてゆく。
あつちではそれが普通なのださうだ。
しかも、俎は不衛生ではないかと言ひやがる。
処が、ある食品を前にすると、急に俎を貸せと言つてきた。
「不衛生なんだろ。」
ニヤニヤ笑ひの俺に、翼は眉をひそめる。
俺はその食品を徐に手のひらに乗せ、賽の目に包丁を入れた。
狭い台所で並んで料理をしてゐると、もう、ずうつとさうしてゐたやうな気分になる。
“今”を噛み締める俺の隣で、翼は何を思つてゐるのだらう。