青々と研ぎ上がる刃や梅雨晴間
シメジとスナップエンドウの味噌汁を作つてゐた時の事。
隣で茶碗を拭いてゐた翼が、ふと、手を止めて、シンクの中を覗き込んだ。やや眉を寄せ、ある一点を見つめてゐる。
「どうした。」
俺が聞くと、翼はあれ、と指を差した。
「どれ。」
見るとそれは、小さな小さな、1センチにも満たない、俎から溢れたシメジだつた。
「シメジだろ。」
翼は目を丸くして、俺の顔とチビシメジを見比べた。
どうやら翼は、チビシメジを何かの幼虫だと思つたらしい。
俺はチビシメジを摘まんで水で濯ぎ、鍋に放り込んだ。
「ほれ。虫入り味噌汁。」
『小学生か。』
翼はノートにさう書いて俺に見せました。そしてもう一言。
『もう、遊んであげないから。』
小学生か!
隣で茶碗を拭いてゐた翼が、ふと、手を止めて、シンクの中を覗き込んだ。やや眉を寄せ、ある一点を見つめてゐる。
「どうした。」
俺が聞くと、翼はあれ、と指を差した。
「どれ。」
見るとそれは、小さな小さな、1センチにも満たない、俎から溢れたシメジだつた。
「シメジだろ。」
翼は目を丸くして、俺の顔とチビシメジを見比べた。
どうやら翼は、チビシメジを何かの幼虫だと思つたらしい。
俺はチビシメジを摘まんで水で濯ぎ、鍋に放り込んだ。
「ほれ。虫入り味噌汁。」
『小学生か。』
翼はノートにさう書いて俺に見せました。そしてもう一言。
『もう、遊んであげないから。』
小学生か!