夢の守り。
「ねえ。」
俺が煙草を灰皿に圧し付けるのを待つてゐたやうに、彼が話し掛けてきた。
「ん。」
「よく眠れるおまじなひしてよ。」
俺は半身を起こし、彼に覆ひ被さるやうにして、いつか誰かに教はつたやうに、夜の女神の名を口に含み、彼の瞼にキスをした。
ところが、
「違ふよ。」
彼ははにかむやうに笑つて、両の腕を俺の首に絡めると、耳許で囁いた。
「それは、恐い夢を見ないおまじなひ。」
かうしてセックスをねだる男と、半年ばかり付き合つた。
少し長く続いた記憶がある。
俺が煙草を灰皿に圧し付けるのを待つてゐたやうに、彼が話し掛けてきた。
「ん。」
「よく眠れるおまじなひしてよ。」
俺は半身を起こし、彼に覆ひ被さるやうにして、いつか誰かに教はつたやうに、夜の女神の名を口に含み、彼の瞼にキスをした。
ところが、
「違ふよ。」
彼ははにかむやうに笑つて、両の腕を俺の首に絡めると、耳許で囁いた。
「それは、恐い夢を見ないおまじなひ。」
かうしてセックスをねだる男と、半年ばかり付き合つた。
少し長く続いた記憶がある。