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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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水草系男子。

“草食系男子”と云ふ言葉が巷で言はれるやうになつて久しいですけれど、普段から地味でヘタレで大人しい俺なんぞは、その典型ではないでせうか。
処が俺がさう言ふと、A沢女史が即座に異を唱へた。

「ちよつと違ふのよねえ。さうねえ、草食系と言ふよりは…」

そこでA沢女史は顎に人指し指を当て、俺の顔を見つめた。

「草食系と言ふよりは、水草系かしら。」

「は?」

つまり、世の中の流れのなすがままになつてゐる姿が、川の流れに身を任せる水草のやうだからだそうです。
多少は日和見主義的な所が有るのは認めますけれど、そこまで酷くはないと思ふんだけど。
そこまでは。

「まあ、涼しげでいいよね、水草も。」

さう同僚が慰めともつかぬ言葉を掛けてくれましたけれど、内心はかなり複雑でした。

おやつに配られた薄皮饅頭のお尻を、同僚の分だけ指で押しておきました。


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