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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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寒い朝。

翼を起こさないやうにベッドを抜け出して、風呂に湯を張りながら珈琲を淹れる為に湯を沸かす。
最近、よく泊まつてゆくやうになつたので、翼は自分のマグカップを持つてきた。

俺はブラック。
翼には砂糖を入れないカフェオレ。
それにチョコレートを2粒添へてやる。

ヘッドボードにクッションや枕を重ねて寄り掛かり、起き抜けの顔のまま両手を差し出してカップを受け取つた翼は、ひと口飲んでは溜め息を吐き、カップの縁を舌の先で舐める。
チョコレートを鼻先へ近づけてやると、雛鳥のやうにポカンと口を開ける。

俺はその間抜けで愛らしい口許に、今直ぐにキスをしたいと思つた。

それはきつと、蕩けるやうに甘くて、上等のチョコレートの味がするだらう。


  1. 彼との事