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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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メールにも電話にも言ふ雪や雪

昼過ぎに雨が弱まつたと思つたら雪になつた。
予報通りになつたねえと窓から見てゐたら、A沢女史に呆れられてしまひました。

「帰れるかしら。」

「このまま降ると電車止まるかもな。東京は雪に弱いから。」

俺がさう言ふと、またA沢女史は暢気ねえと呆れた。
確かに、降り積もる雪を、暢気に眺めてゐる場合ではないのだ。
東京は5センチ積もつたら大雪。15センチ積もつたら首都機能は完全に麻痺する。

大人になつた今、雪はただ寒くて面倒なだけの物になつたけれど、俺の心の何処かには、友達や従兄弟達と空地へ繰り出してかまくらを作つたり、雪だるまの大きさを競つたりした頃の俺が残つてゐて、足跡の付いてゐない場所を選んで歩かせたり、雪玉を握らせたりするんだ。

「綺麗ね。」

ふと見ると、A沢女史が窓に手のひらを当てて、下の歩道を見下ろしてゐた。

A沢女史もまつさらな雪の上に、嬉々として足跡を刻んだりしたのだらうか。

少女の頃のA沢女史は、どんな女の子だつたのだらう。
やはり今のやうに聡明で、美しい女の子だつたのだらうか。


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