七夕デート。2
フランクフルトやチョコバナナを強要(お約束ですね。)して嫌がられながら、君好みのかき氷を探す。
シロップの色を迷ひに迷つて、結局イチゴにするのも毎年の事。
間接キスにドキドキしながら君の咥へたスプーンで俺も一口。
早くあなたを食べたいと囁く口を思ひつ切り抓られて、命じられるままにラムネを調達に行きました。
君のお薦めの定食屋で地元の新鮮な魚料理を堪能した後は湘南の海を見ながらドライブ。涼しげな横顔に恨み言の一つも言ひたいけど、此処で機嫌を損ねてお預けを喰ふのも痛いので、お抱へ運転手宜しく丁寧に車を走らせます。
いつものホテルのいつもの部屋。
見つめ合つて、俺は俺が知る限りのありつたけの愛の言葉を囁く。
その一つ一つに、君は笑ひながらダメ出しをしたり、合格のキスをくれたり、やがて堪へ切れなくなつて抱き合ふまで続く二人切りの儀式。
君の言葉は貝殻結びにした手のひらで封じておいて、俺は唇の形だけで想ひを伝へる。
わざとだよ。
唇を読んでゐる間は、君は目を閉じられないだらう?
ささやかな仕返し。
毎年もう少し早く帰国を知らせてくれたら、もう少し長く一緒にゐられるんだぜ?
愛の言葉が恨み言に変はる頃、生まれたての獣のやうな声を上げ、声にならない声で君は俺の名を呼びながら果てた。
形の良い、君の耳の後ろに唇を押し当てて、愛してゐると告げる。
君がそれに頷いた事を確認して俺はホテルの部屋を出た。