2ntブログ

帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

  • 04
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 06

春色蕾。

うつすらと紅を乗せた、初々しい蕾。
指先でそつと触れると、いやいやをするやうに揺れて、悪戯な指から逃れようとする。

その内奧に露の気配を感じて、俺の体温は緩やかに上昇する。

まだ、幼けない蕊を守る花弁を、ゆつくりと、惜しみつつ開いてゆく。

「ああ…いや…」

唇を寄せて息を吹き掛けると、初めて触れる風の冷たさに、蕾は微かに声を上げた。
トロリと溢れる露を、小鳥のやうに俺は啄む。

「だめ!」

直接的な刺激に、蕾は、今度はあからさまに身を捩つた。
途端に小鳥の心はいきり立ち、獣の顔を覗かせる。

「もう濡れてる。」

獣の心になつた俺は、指先で掬ひ取つた淫らな露を、ほら、と、蕾に突きつけた。
蕾は羞じらひ、無言で俯く。
か細い枝も、紅く色づき始めた蕊も小さく震へてゐる。
俺は蕾に見えるやうに、俺の指先を濡らした露をわざとゆつくり舐め取つた。

蕾はもう知つてゐる。
自分が甘く芳しい蜜を溢し、男達を引き寄せ惑はせる花である事を。
  1. 性欲
  2. / トラックバック:0
  3. / コメント:0

<<春の病。 | BLOG TOP | まるで雪国。>>

comment


 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback