帆を張るやうに胸を張れ

関東でも、すつかり根付いた“恵方巻”だけど、最近は色々と種類も有つて、見てゐる内に買つてみたくなつた。
恵方巻と言つても、なんの事はない太巻なので、おかずに唐揚げを揚げて、生野菜のサラダを添へました。

太巻を切つて並べ、唐揚げとサラダを皿に盛ると、なんだか運動会の弁当のやうになつてしまつた。

つふか、太巻を無言で丸齧りしてる自分を想像しただけで笑つちやつて無理。
朋也も同意見だつたから、縁起物でも何でも無くなつてしまつた。

それから、朋也に笑はれながら豆蒔きをして、歳の数は多過ぎるから控へ目に豆を食つた。

俺が東京へ来た頃は、実家の周りはもちろん、この辺でも節分の夜は豆蒔きをする子供の声が響いてゐた。
今年は遂に一声も聞けなかつた。

子供がゐなくなつたのか、節分の風習が廃れてしまつたのか。

年に一度でも豆蒔きをしないと、鬼が蔓延るばかりではないかと、恐ろしく思ふ節分になつた。