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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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マイノリティのマイノリティのマイノリティ。

先日のデート中、翼についと袖を引かれて振り返ると、小柄な女の子が背の高い青年に何やら怒つてゐた。

「何?知り合ひ?」

俺が聞くと、翼はよく見てと言ふやうに、俺を押した。

女の子は聾者だつた。青年の方は聴者。つまり、俺達と同じ境遇のカップルだつたのだ。

下から睨めつけて忙しく手を動かす女の子と、それを目で追ひながら一生懸命に言ひ訳をしてゐる青年。
その様子が可愛らしいと言ふか、微笑ましいと言ふか、思はず見惚れてしまひました。

青年の誠実さと、その女の子の事をどんなに好きかが伝はつてきて、見てゐる俺もドキドキしました。
許して貰へると良いなあつて。

「俺達もあんなふうに見えるのかな。」

翼が二人の方を見ると、いつの間に和解したのか、女の子は笑顔になつてゐた。
青年もホッとしたやうに笑つてゐる。

彼氏が聾者で彼女が聴者のカップルは、今まで2回くらゐ見た事が有るんだけど、逆は初めて見ました。
ゲイのカップルは見た事が有りません。

そんな事を考へてゐたら、翼にギュッと指を握られました。
いつかこんなふうに、指を絡めて歩きたいものです。


  1. 彼との事