ヴァージンロード。
今日、姪つ子が花嫁になりました。
叔父馬鹿な俺は、新郎新婦入場からウルウルしつ放しで、姪つ子の晴れ姿を一瞬たりとも見逃すまいと、煙草を吸ひに行く事も出来ませんでした。
二回目のお色直しの時に突然司会の人に呼ばれてゆくと、姪つ子を控へ室までエスコートする様に言はれました。
戸惑つてゐる俺に、
「私ね、ずつと大人になつたらおーちやんと腕を組んでヴァージンロードを歩くんだつて思つてたのよ。だからその代はり。」
振り返つたら花婿くんもお義兄さんも、ニコニコして俺を見てる。思はず目頭を押さへてしまひました。
処がこの司会がとんでもない事を言ひやがりまして。
「これよりご新婦様はご自慢のダンディーな叔父様にエスコートされ、お色直しの為暫しご退場でございます。ご新婦の叔父様はまだ独身でいらつしやるとか。ご新婦様のご友人方で我こそはと云ふ方はいらつしやいませんか?」
この余計な一言のお陰で、披露宴の間中若いお嬢さん方のお相手をしなければなりませんでした。
姪よ、おまへの企みか。
おーちやんはゲイだから女の子とは無理なんだよ。
ごめんね。