A沢からのメール。
ごくたまになんだけど、休みの日にA沢からメールが来る事が有る。
たいてい花の写メと、
「この花の名前、判りますか?」
と云ふ決まり文句で。
俺が何かに囚はれ過ぎてゐたり、その反対に何も手に付かなくなつてゐたりする時、A沢からのメールは来る。
花の名前や性質、古今東西の伝承やその他蘊蓄をつらつらと綴り、あれやこれやと資料を引つくり返してゐる間に俺の心は凪いでくるのだ。
我ながらその単純さに笑ひさえ浮かんでくる。
「名前だけ教へてくれれば良かつたのに。」
いつも“ありがたう”と言つて貰へないから、俺が代はりに言つておきます。
ありがたう。
たいてい花の写メと、
「この花の名前、判りますか?」
と云ふ決まり文句で。
俺が何かに囚はれ過ぎてゐたり、その反対に何も手に付かなくなつてゐたりする時、A沢からのメールは来る。
花の名前や性質、古今東西の伝承やその他蘊蓄をつらつらと綴り、あれやこれやと資料を引つくり返してゐる間に俺の心は凪いでくるのだ。
我ながらその単純さに笑ひさえ浮かんでくる。
「名前だけ教へてくれれば良かつたのに。」
いつも“ありがたう”と言つて貰へないから、俺が代はりに言つておきます。
ありがたう。
- 2011/04/02(土) 16:45:11 |
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- ハムおやぢ
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向田邦子の短編の題名です。
向田邦子は短編の名手でした。
彼女のバサッと切れ落ちるような終幕を久方振りに読みました。
やはり、良いです。
抑制されたエロスは、かえって逆に、体の芯が熱くなるような感覚を催します。
加藤治子と八千草薫の隠微なバトルストーリーが、僕の空想のテレビに映し出されていました。
ご一読あれ。