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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


日常に潜む恐怖。

ゴミを出しに行つたらアパートの下の部屋の住人に会つた。
俺が此処へ来る前からゐるその人は、50代前半で独身。日本料理店で板前をしてゐる。

軽く会釈をして、彼がゴミを置くのを待つてゐると、彼はゴミ袋を持つたままシャツの胸ポケットから、煙草を出しておもむろに火を点けた。

煙草なんかゴミを出してから吸へばいいのに。

一瞬、イラッときたが、そこは近所付き合ひも有るし、たいした事ではないので黙つてゐたけれど、それでも目で促すやうに俺はゴミ置き場を見つめた。

「●●さんも煙草吸はれますよね。煙草ばつかり値上げしやがつて腹立つよなあ。」

“●●さん”とは俺の事である。

そんなこたあいいから、ゴミを出しやがれ。

さう思ひながら俺が彼の顔を見たその時…

「うわつ!」
「ちよつ!」

燃えるゴミ袋が飛んできました。

危ねえだろー!


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