帆を張るやうに胸を張れ

日曜は実家でママンの御誕生会が有ります。

毎年の事だけど、この“棘”満載のメールはなんとかならないか。
まあ、元々仲が良くない上に、俺が毎年やらかすからだらうけどさ。
昨年は花を寄せ植えにした大きな鉢を贈つたんだけど、それとは別に、俺は薄紫の薔薇の花束を抱へて登場。
憎悪に満ち満ちた視線に背中を焼かれつつ、ママンと並んでお義兄さんに記念写真を撮つて貰つた。
ママンの前では仲良し姉弟を演じてゐるけれど、バレない訳ないんだよな。母親だもの。何が欲しいかと尋ねれば、ママンは必ず二人で選んだプレゼントが欲しいと答へるんだ。
マジ勘弁して欲しいけど、ママンが望むなら無碍には出来ない。

さて、メールに拠ると、今年はネックレスを贈る事にしたらしい。
真珠にするか珊瑚にするか迷つたらしいが、結局はどちらにしたのかを言つて来ない所が姉上らしい。
俺は金色の小さな鳩が、同じく金色のオリーブの小枝を咥へたピンブローチを買つた。
葉つぱの上には小さな真珠をあしらつてある。
高価な物ではないけど、帽子にも、スカーフにも、コートの襟にも、さりげなく溶け込むやうなデザインをと、売り場のセンスの良ささうなお嬢さんに選んで貰つた。