2ntブログ

帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

  • 04
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 06

イヤホンの隙間を抜けて桜南風

昨夜テレビを見ながらうとうとしてゐたら、体を揺すられたやうな気がして目が覚めた。

地震だと気づいて朋也の部屋の方を見たら、襖がガタンと音を立てて、中から朋也が飛び出して来た。

「地震。」

さう言つたきり言葉の出ない朋也を座らせて、俺はテレビをつけた。
ふと見ると、朋也は手に何か握り締めてゐる。

「それ、何?」

俺がさう言ふと、朋也は手を開いて、それを見せてくれた。

「鯰?」

「はい。」

おばあちやんがと言ひ掛けて、朋也は祖母と言ひ直した。

小さな紙切れに鯰が描かれてゐる。
多賀城をたつ時に朋也のおばあさんが持たせてくれたらしい。

「下手ですけどね。」

朋也はさう言つて手の中の鯰を見つめた。

小さくて黒くて、少し歪な鯰は、おばあさんと朋也の“絆”なのだと思つた。


  1. 日常
  2. / トラックバック:0
  3. / コメント:2

<<放射能は恐い。 | BLOG TOP | 節電の効果。>>

comment

匿名さんへ。

  1. 2011/04/09(土) 13:01:46 |
  2. URL |
  3. jabeque
  4. [ 編集 ]
鯰は地震除けの御守りなんですよね。

そんなのただの言い伝えだ…
被災地に残るおばあちゃんの方が危険なのに…

なんて、ちらっと思いましたけど、そんなのはぶっ飛ばしてしまう位の強さが“おばあちゃんの鯰”には有りました。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2011/04/08(金) 22:39:40 |
  2. |
  3. [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback