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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


身の内に月を身籠るかぐや姫昇り詰めたる後くる夢想

夢を見てゐた。高熱は悪夢を引き寄せる。
だが、果たしてあれは悪夢だつたのか。

喉に掛かる指の感触、徐々に力が込められ、夜叉の様な顔は泣き顔になつた。

綺麗だと思った。

俺はあの時、自分で呼吸する事を止めた。

愛してゐるつて何だらうと思つた。
証明出来るものならばしてやりたいと思つた。

君の物になる事。

命を捧げる事。

でも俺は死ななかつた。
君も死ななかつた。

君は逃げ出したのだ。
俺を置いて。

あの時俺は夢から醒めた様な気持ちで“死”を思い返してゐた。
ちようど、今のやうな気持ちで。

死に損なつていつそう死が近くへ来た。

いつでも傍にゐる。
いつでも触れられる。

狂気だと言ふ人も居たけれど、何処かで繋がつてゐるんぢやないかと思ふ。
愛と死と狂気とは。

甘美な環を描いて。


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