帆を張るやうに胸を張れ

先日の事。
家に帰ると狭い玄関には、でかくてばつちいスニーカーが折り重なるやうに転がつてをりました。
それを足で退けて家に上がると、そこには腹を空かせた男子高校生３匹と大学生が１匹。

「お兄、おつせえよ！腹減つた！」

腹が減つたんなら自分達で何か作つとけよ。
俺は外で仕事して帰つて来るんだぞ。

もちろん、そんな事は言つても無駄なので、俺は無言で手を洗ひ、夕食の支度に取り掛かりました。

「一応ご飯だけ炊いておきました。」

ありがたう、朋也。

「平気平気。お兄、かう云ふの馴れてるから。」

お前は黙つとけ、雨龍。

ガキの食べ物と言へばこれ。オムライス。



いちいち包むのが面倒なので、卵は半熟にして上からでろーん。
パルメザンチーズと塩と牛乳と、ほんの少々砂糖を入れて、綺麗な黄色に仕上がつてます。

雨龍含む高校生３人組は俺がテニスを教へてゐる子達なんだけど、奴等もいよいよ来年は大学受験。暢気にウノなんかやつてるけど、現役大学生との話題はやつぱり受験の事。

したり顔で迷へる子羊達に訓示を垂れる朋也を見ながら、たまには息抜きも必要だよなあなんて思つた夜。