壁に耳有り、障子に目あり。
昼休みに、他の部署の女の子とうちの女の子が廊下で立ち話をしてゐた。
その横を通らうとしたら、クスクス笑はれた気がして、振り返つて見たらやつぱり笑はれてゐた。
「課長、○坂さんが、この前電車の中で課長を見たさうです。」
俺が首を捻ると、○坂さんは、
「背が高いと便利ですね。」
と言つて、うちの女の子と顔を見合はせて、また笑ふ。
「なんだらう。何か変な事してた?」
困つて聞き返すと、
「網棚。」
と言つて、二人はまた笑つた。
なんでも、俺が電車の中で網棚に鞄を乗せて鞄の中を整理したり、中から物を取り出したりする様子が面白かつたらしい。
「自分の家の棚とか、ロッカーを使つてゐるみたいでした。」
高さが丁度良いんだよなあ、網棚。
でも、そんなに面白いもんかな。俺が網棚に乗つてた訳ぢやないんだし。
若い女の子の考へる事は判りません。
気をつけようつと。
その横を通らうとしたら、クスクス笑はれた気がして、振り返つて見たらやつぱり笑はれてゐた。
「課長、○坂さんが、この前電車の中で課長を見たさうです。」
俺が首を捻ると、○坂さんは、
「背が高いと便利ですね。」
と言つて、うちの女の子と顔を見合はせて、また笑ふ。
「なんだらう。何か変な事してた?」
困つて聞き返すと、
「網棚。」
と言つて、二人はまた笑つた。
なんでも、俺が電車の中で網棚に鞄を乗せて鞄の中を整理したり、中から物を取り出したりする様子が面白かつたらしい。
「自分の家の棚とか、ロッカーを使つてゐるみたいでした。」
高さが丁度良いんだよなあ、網棚。
でも、そんなに面白いもんかな。俺が網棚に乗つてた訳ぢやないんだし。
若い女の子の考へる事は判りません。
気をつけようつと。