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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


女つて…

夕飯を食つてゐる時に、唐突に朋也が言つた。

「女つて判んねえ。」

どうやら彼女と喧嘩をしたらしい。
大学に入つてから付き合ひ始めた彼女が、朋也の高校の同級生で、少しの間だけど彼女だつた子の話を聞くから、正直に答へたさうだ。

「自分で色々聞いてきて勝手にキレてんだぜ?可笑しくね?もう別れてるんだし、今さら…」

「ヤキモチ妬いてるんだろ。可愛いぢやん。」

朋也は舌打ちしさうな顔で箸を置いた。

「みんなしておんなじ事言ふんだな。」

本当、女つて判んねえ。
さう言つて朋也はテレビを見始めた。

一丁前の口を訊きやがる。
まあ、一丁前なんだけどな。年齢的には。
成人式で実家に帰つた時は、結婚して母親になつてゐる同級生もゐたさうだ。

一年、一年、大人に近付いてゆくんだなあ。朋也は朋也の人生を歩んでゆく。
朋也はどうなつてゆくんだらう。
俺はどうなつてゆくんだらう。

「俺も判んねえや。女なんて。」

さう言はうとした時、朋也が携帯を持つて、そはそはと立ち上がつた。
彼女からメールがきて、今から電話をかけるのださうだ。

「食事中に行儀悪いぞ。」

眉をひそめる俺に片手で拝むポーズをしながら、朋也は自室へ。

女なんて判らねえよ。
男も判らねえけど。
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