お得です。
「結婚しないの?」
「結婚して一人前。」
「出世に関はるぞ。」
もうね、耳にタコが出来るどころか、タコが増殖して生き埋めになりさうなくらゐ言はれましたよ。
お陰様で人並みには出世してますから、ご心配なく、つて感じなんだけど、未だに言はれ続けてをります。
同僚の一人は、余程、幸せな結婚生活を送つてゐるのか、この歳になつても、たまに結婚しないのかと聞いてきます。
終ひには、
「俺ですら結婚出来たのに。」
と、憐れみなのか、自虐なのか判らないセリフまで出る始末。
まさか、ゲイだからだと言ふ訳にもゆかず、のらりくらりと交はしてをりましたけれど、だんだん面倒になりつつあります。
「見ろよ、あの機械を。」
「は?」
俺は目の前のコピー(カラーコピー、ファックス、プリンター)機を指差しました。
この機械は外見も操作もスリムで、とても使ひ易い、大変に賢い機械です。
何故かこのメーカーのこの機種は、顧客には紹介もリースもしてないんだけど。
「1つの機械が幾つも機能を持つてゐたら、凄く便利だろ。」
「ああ。」
「俺は主夫だろ。」
「うん。」
同僚は一瞬、憐れむやうに俺を見ましたけれど、で?と俺を促しました。
「な、俺は主夫で、世帯主な訳だ。一人二役だから場所も取らないし、コストも安いし、機能的だろ。」
同僚は黙つて俺の肩を叩きました。
どうやら、奴の方が、寂しい気持ちになつてしまつたやうです。
俺は決して負け惜しみを言つた訳ではないんだけど、さう云ふ態度をとられると、ちよつと寂しくなる。
ゲイぢやなかつたら、結婚のチャンスもそれなりに有つたしさ。
結婚、したくない訳ではないのだよ。
後は“偽装結婚”か。
「結婚して一人前。」
「出世に関はるぞ。」
もうね、耳にタコが出来るどころか、タコが増殖して生き埋めになりさうなくらゐ言はれましたよ。
お陰様で人並みには出世してますから、ご心配なく、つて感じなんだけど、未だに言はれ続けてをります。
同僚の一人は、余程、幸せな結婚生活を送つてゐるのか、この歳になつても、たまに結婚しないのかと聞いてきます。
終ひには、
「俺ですら結婚出来たのに。」
と、憐れみなのか、自虐なのか判らないセリフまで出る始末。
まさか、ゲイだからだと言ふ訳にもゆかず、のらりくらりと交はしてをりましたけれど、だんだん面倒になりつつあります。
「見ろよ、あの機械を。」
「は?」
俺は目の前のコピー(カラーコピー、ファックス、プリンター)機を指差しました。
この機械は外見も操作もスリムで、とても使ひ易い、大変に賢い機械です。
何故かこのメーカーのこの機種は、顧客には紹介もリースもしてないんだけど。
「1つの機械が幾つも機能を持つてゐたら、凄く便利だろ。」
「ああ。」
「俺は主夫だろ。」
「うん。」
同僚は一瞬、憐れむやうに俺を見ましたけれど、で?と俺を促しました。
「な、俺は主夫で、世帯主な訳だ。一人二役だから場所も取らないし、コストも安いし、機能的だろ。」
同僚は黙つて俺の肩を叩きました。
どうやら、奴の方が、寂しい気持ちになつてしまつたやうです。
俺は決して負け惜しみを言つた訳ではないんだけど、さう云ふ態度をとられると、ちよつと寂しくなる。
ゲイぢやなかつたら、結婚のチャンスもそれなりに有つたしさ。
結婚、したくない訳ではないのだよ。
後は“偽装結婚”か。