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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


本屋にて。

いや、図書館でもいいんだけど、ぎつしりと本が詰まつた背の高い書架に囲まれてゐると、学校の図書室を思ひ出す。

図書室つてたいてい南向きで、明るい場所に有るんだよな。少なくとも、俺が通つた学校ではさうだつた。
当たり前の事だけど、その学校の生徒なら、どの本でも、幾ら読んでもタダ。しかも期限付きながら貸し出しまでしてくれる。
図書委員や司書の先生にリクエストを出しておけば、話題の新刊もタダで読む事が出来る。

なんて素晴らしいシステムだらう!

そのシステムに感動すら覚へてゐた当時の俺は、もちろん最大限に有効利用させて貰つてゐた。
中学ではどうだつたか覚へてないけど、高校では卒業までに使つた貸出カードは、14枚と片面。司書の先生が歴代新記録だと言つて図書券をプレゼントしてくれた。

俺が借りた本を返すのを待ち構へるやうにして同じ本を借りてゐたあいつ。俺の名前の下に、他の誰かの名前が入るのが嫌だと言つて。
本なんてたいして読みやしないくせに。

俺の制服の袖口を指先で摘んで、首を傾げてせんぱいと呼び掛ける、あいつの甘い声が今も耳の奥に残る。


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