翼と啓太。
翼が暫く此方にゐると云ふ事が判り、啓太の強つての希望で啓太を翼に会はせる事にした。
まあ、いづれ何処かで顔を合はせるだらうからと思つたからなんだけど、そこで啓太がとんでもない事をやらかしてくれた。
「俺の初体験の相手はお兄。中学の時。」
啓太はさう翼に言つた。俺の目の前で。
勿論、事実無根です。
でも、情けない事に俺は、さも呆れたと云ふやうに啓太を叱りながら、翼の顔色を窺つてゐました。
翼はさして驚いたふうも無く、怒るでもなく、困つたやうに笑つてゐて、俺はそれを見て内心ホッとしてゐたんだけど、それから暫くして、ちよつと驚く事が有つた。
啓太が翼に、俺と啓太の彼氏くんと4人で、花火をやらうと言つてきた。
その時、翼が、
「日本の子供つて花火が好きだよね。」
つて言つたんだ。
自分の提案に、笑顔で頷く翼を見て、啓太も笑顔で翼の手元を覗き込んでゐたんだけど、その笑顔が強張つてた。
子供つてさあ、大学生だぜ、啓太。
さう取り立てて言ふ事でもないやうな気もするけど、普段さう云ふ物言ひをしない翼にしては、珍しく厭味つたらしい発言だなあ、と。
近くにゐると、今まで見へなかつた部分が、色々と見へてくるんだらうなあ。
お互ひにさ。
まあ、いづれ何処かで顔を合はせるだらうからと思つたからなんだけど、そこで啓太がとんでもない事をやらかしてくれた。
「俺の初体験の相手はお兄。中学の時。」
啓太はさう翼に言つた。俺の目の前で。
勿論、事実無根です。
でも、情けない事に俺は、さも呆れたと云ふやうに啓太を叱りながら、翼の顔色を窺つてゐました。
翼はさして驚いたふうも無く、怒るでもなく、困つたやうに笑つてゐて、俺はそれを見て内心ホッとしてゐたんだけど、それから暫くして、ちよつと驚く事が有つた。
啓太が翼に、俺と啓太の彼氏くんと4人で、花火をやらうと言つてきた。
その時、翼が、
「日本の子供つて花火が好きだよね。」
つて言つたんだ。
自分の提案に、笑顔で頷く翼を見て、啓太も笑顔で翼の手元を覗き込んでゐたんだけど、その笑顔が強張つてた。
子供つてさあ、大学生だぜ、啓太。
さう取り立てて言ふ事でもないやうな気もするけど、普段さう云ふ物言ひをしない翼にしては、珍しく厭味つたらしい発言だなあ、と。
近くにゐると、今まで見へなかつた部分が、色々と見へてくるんだらうなあ。
お互ひにさ。