帆を張るやうに胸を張れ

実は、お化けが苦手です。
怪談や昔話の類ひは大好きなので、本を読んだり、その手のサイトを覗いたりはするんだけど、夜になつてから後悔をする事もしばしば。

一度“怖い”と思ひ始めると、物音や物影すら怖いんだよね。
夜中にふと目を覚まして、壁に掛けてあるワイシャツが“首吊り死体”に見えてギョッとしたり、風の音が人の悲鳴に聞こえてゾッとしたり、人知れずビクビクしてをります。

この前、うちの女の子が、

「祖母の家の裏庭に古い井戸が有るんですけど…」

と言ふのに、

「まさか幽霊が出るなんて言はないよね（笑）」

と先走つてしまつた結果、怪談大会になつてしまひました。
しかも、伝聞は殆ど無しの、臨場感溢れるリアルな怪談てんこ盛り。
仕事の都合上、逃げたくても逃げられず、最後まで参加と相成りました。

止めろよう。トイレに行けなくなるぢやないかあ。
怖いよう。怖いよう。

等と言へる訳もなく、笑顔で聞いてをりました。

トイレ処か風呂も怖いよ。

墓穴を掘つて、お化けを掘り出してしまつたよう。