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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


ほろほろと水路に溶けて十三夜

台風が去つて、一気に秋の空気になつた。朝晩はもう寒いくらゐ。

いつも寝る前に、ベランダに出て一服するんだけど、涼しい風に吹かれて煙草に火を点け、深く吸ひ込みながら顔を上げると、そこには十三夜の美しい月があつた。

十五夜には敵はないとは言へ、透き通る豊かな光は静まる街並みを浸し、夜を深めてゆく。
アパートの屋根の庇から落ちる影は濃く、何かが潜んでゐても判らない。
吐き出す煙草の煙が風に乗つて流れてゆく。
その行方を追つてゐたら、自分の中が空つぽになるやうな不思議な感覚になつた。
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