春色蕾。
うつすらと紅を乗せた、初々しい蕾。
指先でそつと触れると、いやいやをするやうに揺れて、悪戯な指から逃れようとする。
その内奧に露の気配を感じて、俺の体温は緩やかに上昇する。
まだ、幼けない蕊を守る花弁を、ゆつくりと、惜しみつつ開いてゆく。
「ああ…いや…」
唇を寄せて息を吹き掛けると、初めて触れる風の冷たさに、蕾は微かに声を上げた。
トロリと溢れる露を、小鳥のやうに俺は啄む。
「だめ!」
直接的な刺激に、蕾は、今度はあからさまに身を捩つた。
途端に小鳥の心はいきり立ち、獣の顔を覗かせる。
「もう濡れてる。」
獣の心になつた俺は、指先で掬ひ取つた淫らな露を、ほら、と、蕾に突きつけた。
蕾は羞じらひ、無言で俯く。
か細い枝も、紅く色づき始めた蕊も小さく震へてゐる。
俺は蕾に見えるやうに、俺の指先を濡らした露をわざとゆつくり舐め取つた。
蕾はもう知つてゐる。
自分が甘く芳しい蜜を溢し、男達を引き寄せ惑はせる花である事を。
指先でそつと触れると、いやいやをするやうに揺れて、悪戯な指から逃れようとする。
その内奧に露の気配を感じて、俺の体温は緩やかに上昇する。
まだ、幼けない蕊を守る花弁を、ゆつくりと、惜しみつつ開いてゆく。
「ああ…いや…」
唇を寄せて息を吹き掛けると、初めて触れる風の冷たさに、蕾は微かに声を上げた。
トロリと溢れる露を、小鳥のやうに俺は啄む。
「だめ!」
直接的な刺激に、蕾は、今度はあからさまに身を捩つた。
途端に小鳥の心はいきり立ち、獣の顔を覗かせる。
「もう濡れてる。」
獣の心になつた俺は、指先で掬ひ取つた淫らな露を、ほら、と、蕾に突きつけた。
蕾は羞じらひ、無言で俯く。
か細い枝も、紅く色づき始めた蕊も小さく震へてゐる。
俺は蕾に見えるやうに、俺の指先を濡らした露をわざとゆつくり舐め取つた。
蕾はもう知つてゐる。
自分が甘く芳しい蜜を溢し、男達を引き寄せ惑はせる花である事を。