ルーキー、リターンズ。
煙草を吸ひに行かうと廊下へ出たら、廊下の突き当たりでルーキー君と教育担当、その上司が何やら話してゐた。
また何かやらかしたらしく、大きな体を恐縮させて凛々しい眉毛もハの字に下がつてゐる。
「あんまり苛めるなよ、縮んじまふだらう?」
俺がさう言ふと、教育担当が吹き出した。
「少しくらゐ縮んだつて構ひませんよ。これだけデカいんだから。」
釣られてへへへと笑ふルーキー君の尻を教育担当がばしつと叩いて、ルーキー君の眉毛はまたハの字に逆戻り。
いつたい何をやつたのかと尋ねたら、客先で待たされてゐる間に、居眠りをしてしまつたらしい。
それを聞いた途端に、俺の中で急速に時間が巻き戻つた。
そこにゐるのは、大きな背中をしよんぼりと丸めたあの頃の俺と、まだ主任だつたT部長代理。
みんなルーキーだつた。
その事が何だかとても大切で、愛ほしい気がして、俺は思はず笑ひ出してしまつた。
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また何かやらかしたらしく、大きな体を恐縮させて凛々しい眉毛もハの字に下がつてゐる。
「あんまり苛めるなよ、縮んじまふだらう?」
俺がさう言ふと、教育担当が吹き出した。
「少しくらゐ縮んだつて構ひませんよ。これだけデカいんだから。」
釣られてへへへと笑ふルーキー君の尻を教育担当がばしつと叩いて、ルーキー君の眉毛はまたハの字に逆戻り。
いつたい何をやつたのかと尋ねたら、客先で待たされてゐる間に、居眠りをしてしまつたらしい。
それを聞いた途端に、俺の中で急速に時間が巻き戻つた。
そこにゐるのは、大きな背中をしよんぼりと丸めたあの頃の俺と、まだ主任だつたT部長代理。
みんなルーキーだつた。
その事が何だかとても大切で、愛ほしい気がして、俺は思はず笑ひ出してしまつた。