帆を張るやうに胸を張れ

節電が始まつて三週間余りだ。薄暗い電車にはもう慣れたし、駅のエスカレーターも元々使つてゐなかつたから平気。
デパートの馬鹿みたいな暖房が無くなつて、暑がりの俺は嬉しいくらゐだ。

だいたい客は寒かつたり暑かつたりする外気温に対応出来る格好で出掛けてくるんだから、そんな過剰な冷暖房は要らないんだよな。
体にも悪いし。

要らない電気を削つて要る所へ回してくれ。家とか。

友達の息子が家へ来た最初の夜、彼の居室となつた部屋からは一晩中灯りが漏れてゐた。
眠れないのかと思つて聞いたら、灯りを消すのが怖くて照明を点けたまま寝たのださうだ。

節電が求められてゐる時に大変申し訳ないけれど、これも被災者への協力と云ふ事で許して欲しい。