スパ銭にて。
日曜日のテニスに朋也も連れて行つてみた。
歳が近いせいか、雨龍やその友達とも直ぐに馴染んで、楽しさうにやつてました。
その後みんなでいつも行くスパ銭に行つたんだけど、朋也は他人と風呂に入るのは高校の修学旅行以来とかで、ちよつと落ち着かない感じだつた。
「背中流してやらうか。」
「え…」
戸惑ふ朋也を捕まへて洗い場へ座らせ、背中にタオルを当てる。
染み一つ無い18歳の滑らかな肌を堪能しながら、俺は朋也の父親や俺がまだ若かつた頃の話をした。
「ぢやあ次は俺やります。」
「頼むよ。」
朋也にタオルを渡して背中を向けると、失礼しますと云ふ声がして思ひの外強い力で背中を擦られた。
喉の奥がぐうつと鳴りさうな心地よさに目を閉じてゐると、誰かが朋也に話し掛けてきた。
「親孝行だねえ。お父さん、気持ちいいでせう。」
はあ、と返事をして、頭を垂れたまま首だけ振り向けると、苦笑してゐる朋也と目が合ふ。
その時ふと、俺は子供を持つ事の豊かさについて思つた。
急に子供好きになつたとも思へないから、俺は“拠り所”が欲しいだけなんだらう。
歳が近いせいか、雨龍やその友達とも直ぐに馴染んで、楽しさうにやつてました。
その後みんなでいつも行くスパ銭に行つたんだけど、朋也は他人と風呂に入るのは高校の修学旅行以来とかで、ちよつと落ち着かない感じだつた。
「背中流してやらうか。」
「え…」
戸惑ふ朋也を捕まへて洗い場へ座らせ、背中にタオルを当てる。
染み一つ無い18歳の滑らかな肌を堪能しながら、俺は朋也の父親や俺がまだ若かつた頃の話をした。
「ぢやあ次は俺やります。」
「頼むよ。」
朋也にタオルを渡して背中を向けると、失礼しますと云ふ声がして思ひの外強い力で背中を擦られた。
喉の奥がぐうつと鳴りさうな心地よさに目を閉じてゐると、誰かが朋也に話し掛けてきた。
「親孝行だねえ。お父さん、気持ちいいでせう。」
はあ、と返事をして、頭を垂れたまま首だけ振り向けると、苦笑してゐる朋也と目が合ふ。
その時ふと、俺は子供を持つ事の豊かさについて思つた。
急に子供好きになつたとも思へないから、俺は“拠り所”が欲しいだけなんだらう。