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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


一年の記憶を繋ぐ春の雪

今朝の東京は雪。
先日とは違つて積もらない春の雪だつた。

あの震災から一年。
もう、一年経つてしまふのだ。
もうそろそろ、被災地は頑張つてますキャンペーンは止めたらいいやうな気がする。
被災地で頑張つてゐる人達は実際に頑張つてゐる訳で、さうしなければ毎日の生活が成り立たない訳で、被災地を励ましてゐるやうで、その実励まされてゐるのは、キャンペーンを張つてゐる、被災地以外の人達だ。

実際、何も変はつちやゐない。

動かない国。
動かない東電。
このままではこれからも変はらないだらう。

朋也が此方へ来た頃、啓太やその友達が朋也にあれこれと震災の事を尋ねてゐた。
見かねて注意をした事も有つたけれど、今は却つて良かつたのかもしれないと思つてゐる。

大人が変な遠慮をして聞けなかつた事、地震や津波の恐怖、死んでしまつた親戚や友達の事。
何もかもが変はつてしまつた日常。
そして故郷。

答へながら幾度か朋也は涙を流した。
それでも朋也は答へる事を止めなかつた。

子供達から真つ直ぐに投げ掛けられる質問の数々が、朋也の中から衝撃や恐怖、悲しみを導き出し、朋也の中で凝り固まるのを防いでくれたのかもしれない。今、朋也の涙を思ひ出してさう思ふ。


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