三つ子の魂。
同僚がふと、
「俺、中指が曲がつてんだよ。」
と言つた。俺がモニターを覗き込みながら、んーと生返事をしてゐると、同僚が両手のひらを揃へて、ほら、と見せてきた。
パッと見には判らないけれど、左右を見比べると、片方の中指の第一関節が微妙に曲がつてゐる。
「俺も曲がつてるよ。」
俺は両手の小指が並ぶやうに手の甲を並べて、同僚に示した。
「本当だ!」
同僚は自分の中指と俺の小指を見比べて、ふーんと言つた。
「みんな、曲がつてんぢやねえの。多少は。」
「さうかなあ。」
同僚はさう言ひつつ、周りを見渡した。
「完璧に左右対称な人間なんかゐないんぢやねえの。」
俺が、ゐるとしたら宇宙飛行士くらゐぢやね、と言つて仕事に戻らうとしたら、
「どうしたんですか?」
と、部下が声を掛けてきた。
オッサン二人が肩寄せ合つて手のひらを眺めてゐるのを不審に思つたのだらう。
これ、と俺が説明すると、部下は、
「ああ…俺は曲がつてないけど、腕の関節が柔らかいつて言ふか曲がりますよ。」
と言つて、右の肘をグイと逆関節に曲げて見せた。
「すげー。」
途端に目を輝かせるオッサン二人。
部下の右腕は、ちょつとあり得ない程曲がつてゐる。
その後、女の子達や、外から帰つて奴も参戦してきて、一頻り自分の“此処が変”で盛り上がつたんだけど、席を外してゐた部長が戻つてきたのでお開きとなつた。
凄いなあと思つたのは、部下の舌先を折り曲げるやつと、女の子の白目。
指で瞼を固定しておいて、目玉をぐるんと…
夢に見そう。
「俺、中指が曲がつてんだよ。」
と言つた。俺がモニターを覗き込みながら、んーと生返事をしてゐると、同僚が両手のひらを揃へて、ほら、と見せてきた。
パッと見には判らないけれど、左右を見比べると、片方の中指の第一関節が微妙に曲がつてゐる。
「俺も曲がつてるよ。」
俺は両手の小指が並ぶやうに手の甲を並べて、同僚に示した。
「本当だ!」
同僚は自分の中指と俺の小指を見比べて、ふーんと言つた。
「みんな、曲がつてんぢやねえの。多少は。」
「さうかなあ。」
同僚はさう言ひつつ、周りを見渡した。
「完璧に左右対称な人間なんかゐないんぢやねえの。」
俺が、ゐるとしたら宇宙飛行士くらゐぢやね、と言つて仕事に戻らうとしたら、
「どうしたんですか?」
と、部下が声を掛けてきた。
オッサン二人が肩寄せ合つて手のひらを眺めてゐるのを不審に思つたのだらう。
これ、と俺が説明すると、部下は、
「ああ…俺は曲がつてないけど、腕の関節が柔らかいつて言ふか曲がりますよ。」
と言つて、右の肘をグイと逆関節に曲げて見せた。
「すげー。」
途端に目を輝かせるオッサン二人。
部下の右腕は、ちょつとあり得ない程曲がつてゐる。
その後、女の子達や、外から帰つて奴も参戦してきて、一頻り自分の“此処が変”で盛り上がつたんだけど、席を外してゐた部長が戻つてきたのでお開きとなつた。
凄いなあと思つたのは、部下の舌先を折り曲げるやつと、女の子の白目。
指で瞼を固定しておいて、目玉をぐるんと…
夢に見そう。