帆を張るやうに胸を張れ

と云ふドラマが有つたやうな気がする。


昨日、大学生らしい子が隣のコートでやつてたんだけど、テニスと言ふよりはサーファーつぽい外見と“オラオラ”系のプレースタイルに見覚へが有るなあと思つたら、昨年のＡカップのダブルスのチャンピオンだつた。

休憩してる時に、昨年の試合見ましたよ、と声を掛けたら恥ずかしさうに頭を下げた。

試合中、ペアの子を怒鳴りつけたり、アウトジャッジにラケットを蹴つたり(マッケンローかよ。)して行儀の悪いガキだと思つてゐたけど、なかなか可愛い所も有る。

驚いたことに向かうも俺を知つてゐて、共通の知人や今年の試合の話題で暫く盛り上がつた。

こう云ふのと当たりたくないから、そろそろ年齢別で出たいんだよなあ、とか思ひながら。

そこまでは良かつたんだけど…


俺達が話をしてゐる間、もう一人の子が啓太の相手をしてくれたんだけど、啓太がコートから上がつて来て俺に向かつてにやあ、つと笑つた。

「パパ。」
「はあ？」

パパ、テニス上手くてかつこいいね、と言はれたのださうだ。

“テニス上手くて”と、“かっこいいね”は有り難く受け取らせて頂きますが、パパぢやないですから！