遺書。
笹音くんが亡くなつた時、彼はまだ26歳だつた。
悲しみよりも虚しさや遣る瀬なさの方が強かつたのは、彼が俺よりずつと若かつたから。
遺書を書こうと思つた。
俺が死んだら総て処分して下さいと。
葬式も墓参りも要らないと。
何も遺さないで逝きたいから。
死ぬ事は怖くない。
生に執着する事が怖いんだよ。
人や物や若さに執着するのは怖い。
別れが辛いから。
自分から手放すばかりぢやないだらう?
奪はれる事だつてあるから。
人生の折り返し地点に俺は今、立つてゐる。
悲しみよりも虚しさや遣る瀬なさの方が強かつたのは、彼が俺よりずつと若かつたから。
遺書を書こうと思つた。
俺が死んだら総て処分して下さいと。
葬式も墓参りも要らないと。
何も遺さないで逝きたいから。
死ぬ事は怖くない。
生に執着する事が怖いんだよ。
人や物や若さに執着するのは怖い。
別れが辛いから。
自分から手放すばかりぢやないだらう?
奪はれる事だつてあるから。
人生の折り返し地点に俺は今、立つてゐる。