帆を張るやうに胸を張れ

有楽町にルミネが来た。
街の若返りを図るとかなんとか言つてるけど、有楽町は元々大人の街なんだから、殊更若返らなくつてもいいと思ふんだよね。

さうでなくても大人の領分はどんどん侵略されて、青山も代官山も六本木にもお子様達がぞろぞろ歩いてゐる。
ガキ共は渋谷と新宿と原宿から出てくるな。せいぜい表参道まで。

“大人つぽい”とか、“ちよつと大人”とか云ふキーワードに唆されて、今の子供達がしてゐる事は、大人そのものではないだらうか。

服に化粧品、高級食材に海外旅行、ドラマに映画に雑誌に小説。
総て先取り先取りで、そんな物、大人になつたら幾らでも体験出来るだらうにと思ふ。

その一方で大人はどんどん幼稚になつてる。
責任感が無い。忍耐力が無い。想像力が無い。

昔は子供の領分と大人の領分がはつきりしてゐた。
大人達は時折自分達の世界をちらりと覗かせてくれながらも、子供が踏み込もうとすればぴしやりとやられた。

俺達は好奇心と畏れと誇らしさを持つて大人への扉を開いた。

早く大人になつてしまつたら、その後の人生は途方も無く永いのではないだらうか。

しかも、後戻りも出来ない。