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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


幸せになりたい。

俺が今よりずつと若くて“性同一性障害”と云ふ言葉がまだ一般的ではなかつた頃。当事付き合つてゐた子が、突然、性転換手術をしたいと言ひ出した。

当然俺は反対した。
女の身体になるのならもう抱く事は出来ないと言つた。

小さい頃からずつと、自分の体の性別に違和感や嫌悪感が有つた事。
ゲイではなく、女性として男性を愛したいと云ふ事と。

彼は自分の中の葛藤や苦しみと向き合ふやうに、言葉を探しながら正直に自分の気持ちを語つてくれたのだが、それでも俺の気持ちは変はらなかつた。
全くの自分の都合で。

性別を変へるのではなく、本来の自分の性別に戻りたいのだと云ふ彼の気持ちを理解する努力もせずに、性別を変へるなんて無理な事だと切つて捨てた。

例へ恋人として続けられなくても、否定する必要は無かつた。
例へ理解する事が出来なくても、否定しないと云ふ方法で彼を応援する事が出来た。

今でも時折、後悔と共に彼の事を思ひ出す。
彼の揺れる心と身体が、いつか何処か静かな場所へ、辿り着く事を祈りながら。


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