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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog


プライド。

障碍を必要以上に嫌な物、悪い物と思う事は無いけれど、だからと言って総てありのままにと云うのも違うのではないかと思う。

俺はある時自閉症児を持つ2人のお母さんと知り合った。
片方のお母さんは着る事、食べる事、排泄等、かなり細かく、且つ厳しく躾ていた。
そのお母さんの子供はお母さんの厳しい言葉と態度に、よく癇癪を起こして泣き叫んでいたけれど、お母さんは怯む事無く子供を叱り続けた。

もう片方は子供が嫌がる様な事はいっさいさせずに、他人に迷惑を掛けてしまった場合はその都度自分の子供が自閉症児であると云う事を説明して、相手に理解を求めていた。

この2人のお母さんの子供は、衣服の感触や拘束感が嫌なのか、人前で裸になってしまう事がよく有った。
前者のお母さんは根気よく、人前で裸になるのは恥ずかしい事だと言い聞かせていた。
後者のお母さんは裸で駆け回る我が子をにこにこして眺めながら、周りの人達に自閉症児の特徴なのだと云う事を説明した。また後者のお母さんの子供は、人前で突然下着を下ろしておしっこをしたり、裸足で外を走り回ったりもしていたけれど、それでもお母さんの対応は変わらなかった。

俺はどちらのお母さんも子供を愛している事には変わりないと思うけれど、例え自閉症児である本人が恥ずかしいと感じていなくても子供のプライドを守るのも養育者の責任ではないかと思う。

俺は後者のお母さんに一度だけ我が子が人前で裸や性器を晒したり、排泄をしたりする事についてどう思っているのか尋ねた事がある。
お母さんは本人が恥ずかしがっていないからと言って、相変わらずにこにこしていた。

俺はもう一つ質問をしてみた。
それならあなたの子供が健常児だったら?

不思議そうな顔で俺を見たお母さんの顔を、俺は今でもよく覚えている。


  1. 障碍の事
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