若い人は良いなあ。ハッハッハッ。
ファックスの側に、ピンクの丸いメモだかポストイットだか、そのやうな物が落ちてゐました。
大事な物だと困るからと思つて、拾はうと屈んだ瞬間、後ろで小さな悲鳴が上がりました。
え、と思つて振り返らうとしたら、ある新人くんがサッと屈んでピンクのブツを奪つてゆきました。
悲鳴の主は隣の課の女の子。屈んだままの俺と、足早に去つてゆく新人くんを半々に見ながら、スミマセンと小さく繰り返してゐます。
ああ、さう云ふ事か…
物分かりの良いオッサンは、いいよと女の子に手を振つて、自分のデスクに戻りました。
女の子も恥ずかしげに頭を下げると、自分の仕事に戻つてゆきました。
「雨が小粒の真珠なら~」
胸の中を温かい物が満たして、ついつい鼻唄が出てしまひました。今日は一日、気分良く仕事が出来ました。
恋はピンクの薔薇の花なのです。
大事な物だと困るからと思つて、拾はうと屈んだ瞬間、後ろで小さな悲鳴が上がりました。
え、と思つて振り返らうとしたら、ある新人くんがサッと屈んでピンクのブツを奪つてゆきました。
悲鳴の主は隣の課の女の子。屈んだままの俺と、足早に去つてゆく新人くんを半々に見ながら、スミマセンと小さく繰り返してゐます。
ああ、さう云ふ事か…
物分かりの良いオッサンは、いいよと女の子に手を振つて、自分のデスクに戻りました。
女の子も恥ずかしげに頭を下げると、自分の仕事に戻つてゆきました。
「雨が小粒の真珠なら~」
胸の中を温かい物が満たして、ついつい鼻唄が出てしまひました。今日は一日、気分良く仕事が出来ました。
恋はピンクの薔薇の花なのです。