いただきます。
「本当にいいの?」
誘ふ方も、誘はれる方も、曖昧なままベッドの上。
「いつもそんな事聞くんですか?」
冷静なふうを装つてはゐるけれど、その頬は緊張してゐる。
じつと見つめてくるくせに、見つめ返すと目を逸らす。ため息を逃すやうに、小さく唇を尖らせる。
「いや、そんな事わざわざ聞かないよ。」
肩を抱き寄せて、耳許で囁く。
「押し倒してみて目を閉じたら、そのまま頂く。」
腕の中で彼は微かに身動ぎをした。
言葉が見つからないのか、形の良い頤を揺らして頷く。
これでもう逃げられない。
俺は彼に判らないやうにほくそ笑んだ。大人ぶる彼はとても純粋だけれど、大人の俺はとても卑怯だ。
強張る身体をそつとシーツに横たへ、甘い香りのする首筋に唇を這はせる。
滑らかな肌を手のひらで撫で上げると、細い指が縋るやうに俺の肩を掴んだ。
その指に指を絡めてシーツに押さへつけると、彼は静かに目を閉じた。
見る間に胸は波打ち、固く結んだ唇が震へだす。
俺は直ぐにでもその唇に食らひ付きたかつたけれど、それよりも、緊張と羞恥に耐へる愛らしい姿を見たくて、もう一度聞いてみた。
「本当に、いいの?」
その瞬間、閉じてゐた目がはつと見開かれた。
俺の真意を測りかねてゐるのか、大きな瞳が揺れてゐる。
「冗談だよ。」
俺は悔しげに引き結ばれた、彼の唇に優しくキスをした。
新鮮だけれど粗野な素材を、羞恥や不安や苛立ち、さらに恋慕の情で調味する。
最も美味しく食べる為に、自分好みに調へてゆくのは楽しい。
そんな事はおくびにも出さず、俺は丁寧に愛撫を加へ、快楽だけを与へる。
やつぱり、大人は卑怯だ。
誘ふ方も、誘はれる方も、曖昧なままベッドの上。
「いつもそんな事聞くんですか?」
冷静なふうを装つてはゐるけれど、その頬は緊張してゐる。
じつと見つめてくるくせに、見つめ返すと目を逸らす。ため息を逃すやうに、小さく唇を尖らせる。
「いや、そんな事わざわざ聞かないよ。」
肩を抱き寄せて、耳許で囁く。
「押し倒してみて目を閉じたら、そのまま頂く。」
腕の中で彼は微かに身動ぎをした。
言葉が見つからないのか、形の良い頤を揺らして頷く。
これでもう逃げられない。
俺は彼に判らないやうにほくそ笑んだ。大人ぶる彼はとても純粋だけれど、大人の俺はとても卑怯だ。
強張る身体をそつとシーツに横たへ、甘い香りのする首筋に唇を這はせる。
滑らかな肌を手のひらで撫で上げると、細い指が縋るやうに俺の肩を掴んだ。
その指に指を絡めてシーツに押さへつけると、彼は静かに目を閉じた。
見る間に胸は波打ち、固く結んだ唇が震へだす。
俺は直ぐにでもその唇に食らひ付きたかつたけれど、それよりも、緊張と羞恥に耐へる愛らしい姿を見たくて、もう一度聞いてみた。
「本当に、いいの?」
その瞬間、閉じてゐた目がはつと見開かれた。
俺の真意を測りかねてゐるのか、大きな瞳が揺れてゐる。
「冗談だよ。」
俺は悔しげに引き結ばれた、彼の唇に優しくキスをした。
新鮮だけれど粗野な素材を、羞恥や不安や苛立ち、さらに恋慕の情で調味する。
最も美味しく食べる為に、自分好みに調へてゆくのは楽しい。
そんな事はおくびにも出さず、俺は丁寧に愛撫を加へ、快楽だけを与へる。
やつぱり、大人は卑怯だ。