初めての男。
コトを終へた後、腕枕でとり留めの無い話をしてゐると、うとうととし始めたので背中をぽんぽん叩いてみた。
途端に彼は唇を尖らせて抗議する。
「あのねえ、赤ちやんぢやないんだから。」
俺はあやすやうに背中を撫でながら、思はず弛みさうになる口許を抑へ、囁いてやつた。
「知つてる。赤ん坊はセックスなんかしないもんな。」
セックスと云ふ言葉に反応したのか、ぴくりと背中が震へた。
上手くやりおほせたと云ふ、達成感にも似た安堵感と、もう元には戻れないのだと云ふ、甘い感傷。
素肌が触れ合ふ場所から喜びと戸惑ひが伝はつてくる。
快楽に開き始めた体と好奇心とが欲望と溶け合つて、未熟ながらも快美を訴へてくる。
そして俺は拙い誘ひに乗る振りで、容赦無く喰ひ尽くす。
数年の後、彼は俺の事を、初めての男として懐かしく思ひ出すのだらうか。
それとも自分を弄んで捨てた男として、思ひ出したくもない記憶になつてゐるのだらうか。
途端に彼は唇を尖らせて抗議する。
「あのねえ、赤ちやんぢやないんだから。」
俺はあやすやうに背中を撫でながら、思はず弛みさうになる口許を抑へ、囁いてやつた。
「知つてる。赤ん坊はセックスなんかしないもんな。」
セックスと云ふ言葉に反応したのか、ぴくりと背中が震へた。
上手くやりおほせたと云ふ、達成感にも似た安堵感と、もう元には戻れないのだと云ふ、甘い感傷。
素肌が触れ合ふ場所から喜びと戸惑ひが伝はつてくる。
快楽に開き始めた体と好奇心とが欲望と溶け合つて、未熟ながらも快美を訴へてくる。
そして俺は拙い誘ひに乗る振りで、容赦無く喰ひ尽くす。
数年の後、彼は俺の事を、初めての男として懐かしく思ひ出すのだらうか。
それとも自分を弄んで捨てた男として、思ひ出したくもない記憶になつてゐるのだらうか。